基板レイアウトと熱 | パターン設計開発支援サイト
基板のレイアウトを考える際に忘れがちになりやすい
”熱”に関してです。
●基板レイアウト 3大要素
基板の部品配置を検討する時
① 外的要因(機構設計,操作性,デザイン)
② 電気的要因(パターンの引き回し)
をまず考えると思います。
そして、
③ 熱的要因
があります。
③の熱対策は回路設計者が中心になって対応が必要です。
●部品の熱に対する特性を把握する
ただ冷やすだけの熱対策は、大きく重くうるさくなって
コストも上がるのが普通です。
力任せの熱対策にしないためには、
回路設計者が部品や回路の特性を把握する必要があります。
まず部品やモジュールをグループ分けします。
グループA:発熱が大きく,自身も熱に強い
例)電力の大きな抵抗,チョークコイル,パワーFET
グループB:発熱は大きいが,自身は熱に弱い
例)演算能力の大きなCPU,アルミ電解コンデンサを使った電源
グループC:熱いと故障しやすい
例)アルミ電解コンデンサ,空冷ファン,HDD,フラッシュメモリ
グループD:寒いと特性が劣化する
例)アルミ電解コンデンサ,電池
グループE:適温でしか動作させない
例)二次電池
グループF:放熱のための部品
例)ヒートシンク,空冷ファン
グループG:熱に敏感な部品
例)センサ
●部品をレイアウトした際の相性を考える
グループ分けした部品のレイアウト上の相性を考えて見ましょう。
・熱を出すものと熱が嫌いなものは離す
発熱グループ)A,B,F 熱嫌いグループ)C,E,G
ここで注意が必要なのがグループBです。
グループBは自身も熱に弱いとなると他の予熱を受けたくありません。
またグループFは熱風をばら撒くこともありますが、
風上は熱の苦手な部品のオアシスになります。
●レイアウトの熱対策方針は単純
グループ分けを完了すればレイアウトの方針はほぼ決まりです。
① 基板の向き,ケースのファンの位置及び吸い込み吸い出しを決める。
② グループAは自然空冷なら高く天井の開けたところ、
強制空冷なら排気口付近に配置する。
(熱を追い出し安い部分,逆に熱がこもる部分は厳禁)
③ グループBをグループA,Bから距離を取って配置する。
④ グループA,Bの冷却機構(グループF)を上昇気流や風道を考え配置する。
⑤ グループCはグループA,Bから離れた低い部分や風上に配置する。
⑥ グループCで故障の危険の高い部品やグループEは、
他から風道を分けたり断熱材で隔離する。
⑦ グループDは冷気の還流する吸気口や排気口付近に配置しない。
⑧ グループGはグループA,B,F及び空気の流れが無く
熱が蓄積しやすい箇所を避ける。
●レイアウトのタブー
グループBの”発熱は大きいが,自身は熱に弱い”はとても扱いが厄介です。
レイアウトのタブーはこのグループBを作り出してしまうことです。
アルミ電解コンデンサを使った電源で分かる通り、レイアウトでグループAと
熱嫌いグループC,E,Gを結びつけるとグループBが生まれます。
基板のレイアウトチェック時には必ずこのタブーを犯していないか
確認しましょう。
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