汎用深堀① チップ抵抗 前編 | パターン設計開発支援サイト
◆最初に
よく電子部品で”汎用”のキーワードが出て来ますが、
汎用の基準が分からないことがあります。
そんな時に一読して頂けば幸いです。
電子部品は素材が特性を左右するため、
”汎用”とは、素材の特性を生かして作りやすい
一般的なランクの意味を持ちます。
”汎用”以外は汎用から派生し、強化ポイントがあると考えます。
従って、”汎用”を理解出来ればそのカテゴリ全体像が分かります。
■1 チップ抵抗
●1−1 汎用の仕様
1素子のチップ抵抗の場合です。
パッケージサイズなど緩やかにトレンドが変化します。
詳細は使用する抵抗のデータシートで確認します。
[現在の汎用チップ抵抗仕様]
a) 抵抗体 ・・・ 厚膜
b) 内部電極 ・・・ 銀
c) 電力@Ta=70℃ サイズコード m:メートル,i インチ
0.03 W(1/32W) : m0402(i01005)
0.05 W(1/20W) : m0603(i0201)
0.063 W(1/16W) : m1005(i0402)
0.10 W(1/10W) : m1005(i0402),m1608(i0603)
0.125W(1/ 8W) : m1608(i0603),m2012(i0802)
0.25 W(1/ 4W) : m2012(i0802),m3216(i1206)
0.5 W(1/ 2W) : m3225(i1210)
0.75 W(3/ 4W) : m5025(i2010)
1 W : m6432(i2512)
d) 抵抗値 ・・・ 1〜10M E24
e) 精度 ・・・ ±5%
f) 抵抗温度係数 ・・・ ±200ppm
●1−2 厚膜,薄膜,銀,銀パラジウム,金
チップ抵抗の構造に関するキーワードです。
抵抗は抵抗体(抵抗本体)を挟んで、外部電極(パッド部分)があり、
抵抗体と外部電極を接続する内部電極があります。
抵抗体は厚膜と薄膜があります。厚膜が一般的です。
膜と言ってもカバーでは無く抵抗本体なので特性を左右します。
厚膜・・・タフ,鈍感,うるさい
薄膜・・・脆い,繊細,静かとイメージして下さい。
厚膜は、電気的,機械的そして耐環境面でもタフです。
薄膜は精度が高く温度係数が低い物を作りやすい特徴があります。
最後の”うるさい”と”静か”は、熱雑音の影響が出やすいかどうかで、
音響設備やセンサの場合静かなものが重宝されます。
内部電極は銀電極と耐硫化電極があります。
内部電極は特性,コスト面から銀電極が一般的です。
銀電極は硫化ガス*にさらされると腐食し(錆び)、劣化若しくは剥離します。
* 硫化ガス 二酸化硫黄(化石燃料燃焼時),
硫化水素(地ガス浸透,微生物の生分解時)
代表的な耐硫化電極として銀パラジウム電極と金電極があります。
耐硫化電極を採用した抵抗を耐硫化抵抗と言います。
チップ抵抗の体系
- TTL とCMOS 回路のインタフェース
- マイコンやFPGAでI/O電圧が3.3V時の注意点
- マイコン、FPGA、インターフェースIC等で,I/O電圧が異なる時の対処法①
- マイコン、FPGA、インターフェースIC等で、I/O電圧が異なる時の対処法②
- EMC のためのコンポーネントの選択
- EMC対策の部品の選択(抵抗編)
- EMC対策の部品の選択(コンデンサ編)
- EMC対策のデジタル回路の設計(1)
- EMC対策のデジタル回路の設計(2)
- 「SI」、「PI」とは
- スイッチング電源によるノイズ問題
- 電子部品で取扱う波形の性質
- LVDSについて
- デジタルICの電源ノイズとデカップリング回路の必要性(1)
- デジタルICの電源ノイズとデカップリング回路の必要性(2)
- デジタルICの電源ノイズとデカップリング回路の必要性(3)
- デジタルICの電源ノイズとデカップリング回路の必要性(4)
- 分布定数回路の必要性
- 伝送ラインの等価回路(l<<λ)
- sin波形
- 終端処理
- プロービングとテストピン
- 回路設計者と難燃性
- 基板レイアウトと熱
- 様々なインターフェースを使いこなすには
- バス・インターフェースの選び方
- 汎用深堀① チップ抵抗 前編
- 汎用深堀② チップ抵抗 後編